◆“未来のクルマの音”で加速感を演出
--クルマを運転する楽しみのひとつに「音」があるが、モーターで走るFCVの静粛性が、ドライバーから楽しみを奪ってしまうといった心配はないのだろうか。
「このクルマにエンジンはありませんが、純粋なEVにはないものがあるんです。それは、エアーコンプレッサーが空気を大量に吸い込むときに出る『ヒーン』という音です。FCVは加速時に、パワーを出すためにたくさんの空気を取り込むのですが、その音が加速感を演出するのです。これが“未来のクルマの音”じゃないかということで、豊田社長も『もっと作り込めばひとつの特徴にできるんじゃない?』と言っていました。本当はその音を消し去ることも考えていましたが、逆に音を作って加速感を演出するのもありかなと思います」
--FCVの海外展開について。主なターゲットは北米や欧州になると思われるが、発売に向けて日本国内と同じペースで動いているのか。また、インフラ整備は進んでいるのだろうか。
「基本的には日本と同じペースです。ハイブリッド車も日本から始まりましたが、その1~2年後にはアメリカで販売を開始して、レオナルド・ディカプリオなどハリウッドのセレブにも『環境車』として選んで頂いた。FCVに関しては、日本で発売した半年後くらいにアメリカやヨーロッパで販売を始めようと思っています。アメリカでは、カリフォルニアを中心にステーションの準備も始まっていますし、ヨーロッパでも北欧やドイツで設置が始まっています」