経営再建中のシャープで、主力の液晶パネル事業を巨額赤字の元凶となった戦犯として断罪する風潮が蔓延している。社内の評価では電子デバイスと液晶パネル部門が下位に並び、本社の会議で一方的にやり玉に挙がるなど経営層にも“液晶アレルギー”が根強い。本社が上意下達で事業に介入することも少なくなく、それは本社の上層部が市場を顧みずにイケイケの拡大路線を押しつけてきた過去の手法とも重なる。取引業者には「本社が無理な値下げや納入中止を指示した暗黒時代に逆戻りか」と警戒感が広がり始めた。
黒字転換も評価は最下位
「液晶は目標に届いてないやないか」
シャープ本社での会議で最近、こうして液晶パネル事業が頭ごなしにやり玉にあがるケースが増えているという。
シャープは「身の丈」を超えた規模の液晶事業への投資と、その後の販売不振により抱えた大量の在庫が巨額赤字と経営危機を招いたといわれている。ただ、平成26年3月期の業績をみると、液晶パネル事業は営業損益が前期の1389億円の赤字から415億円の黒字へと1年で1800億円も改善。シャープ全体の3年ぶりの黒字転換に貢献している。