経営再建を目指すシャープの高橋興三社長が、全国津々浦々の生産・営業拠点を行脚している。小さな事業所などはアポなしで訪問し「けったいな文化を変える」と号令をかける企業風土改革が現場に浸透しているかを肌で感じるのだという。上意下達の強すぎる社風が経営危機につながったとの反省から、現場から上層部に意見しやすい風通しの良い雰囲気づくりに腐心する。その社員の意識改革は道半ばだが、決別すべき過去の象徴として“ゾンビ”と批判された元社長らは表舞台から静かに退場している。(松岡達郎)
ゲリラ訪問も
「実際に接すると、高橋という奴が身近になるでしょう」
高橋社長は全国行脚する理由について、こう説明する。昨年6月の就任以降、国内の生産・営業などの拠点約140カ所のうち約80カ所を回ったという。
大規模な工場の場合は、事業報告などの要件に合わせて訪問し、社員を集めて企業風土などの改革の必要性を語りかける。
社員数人程度の小さい営業所も出張で近くに寄った折などに時間をみつけて足を伸ばす。突然、秘書から「30分後に高橋さんがそちらに行きます」と連絡が入り、その場に居合わせた社員と対話する。