法人向けの宅配便市場をめぐり、大手2強のシェア争いが激化している。首位のヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングス(HD)は、グループの機能を結集した物流ターミナル「羽田クロノゲート」(東京都大田区)を拠点に、高付加価値のサービスを拡充した。これに対し、2位の佐川急便を擁するSGホールディングス(SGH)は、法人向けに経営資源を集中してきた強みを生かし、きめ細やかな対抗策を打ち出した。両社とも、インターネット通販の普及で市場が拡大する中、法人向けの単価下落への対応を迫られている。
空港隣接、365日稼働
ヤマトグループで国際間物流を担うヤマトグローバルロジスティクスジャパンは4月から、中国の物流最大手の中国郵政集団(チャイナポスト)と提携し、日本のネット通販会社で買い物をした中国人向けに商品を宅配するサービスを始めた。ヤマト運輸の宅配便サービス「宅急便」ネットワークを利用して日本企業から集荷し、羽田クロノゲート経由で中国に空輸。受け取ったチャイナポストが中国全土に宅配する仕組みだ。
中国には、Eコマース(電子商取引)で海外の物品を購入する利用者は約3億4000万人に上り、ヤマトHDは「今後は現地法人をつくらなくても、中国の市場にアプローチができる」と、ネット通販向けのメリットを強調する。羽田クロノゲートまでの輸送で、通販業者の宅急便の活用につながりそうだ。