ムスリム(イスラム教徒)の戒律にのっとったハラルビジネスへの関心が、国内の中小企業にも広がっている。東南アジアなどからの訪日客増加を見込み、ハラル食品専用の工場を稼働させたり、ムスリム旅行者向けの土産物販売に乗り出す企業も出てきた。将来の海外進出も視野に、今後も参入企業が増えそうだ。
今月初旬に千葉市で開かれたアジア最大級の食の見本市「FOODEX JAPAN(フーデックスジャパン)2014」。初めて設けたハラルをテーマにしたセミナーはいずれも大盛況。ハラル対応食品などを出展した日本企業も9社に達し、来場者の関心を呼んだ。
安全・安心を追究
「食の安全を追究していたら、ハラル食品に行き着いた」
ハラル認証を取得したしょうゆを国内向けに販売している食品専門商社の佐藤長八商事(東京都台東区)は、そう話し、安全性、信頼性を強調する。同社は今年1月、日本初のハラル食品専用の工場を、千葉市花見川区で稼働させている。
もともと食の安全・安心に注力していた同社だが、ハラルの認証を得るには、アルコールや豚由来の原料を使用しないというだけではない。どこで、どうやって、誰が生産し、どんな原料を使用したかを、すべて情報開示しなければならない。そうした基準をクリアし、国内認証機関から認証を得たという。