消費税率引き上げの対策として、「朝食需要」の取り込みを強化する動きが外食大手で目立ってきた。ハンバーガーチェーン「モスバーガー」を展開するモスフードサービスは12日、全体の8割の店舗で4月から開店時刻を2~3時間繰り上げ、午前7時にすると発表。牛丼やカフェのチェーンも朝食時間帯のメニューを充実させ、顧客層の幅を広げて売り上げの底上げを図ろうと懸命だ。
「社会全体が夜型から朝型にシフトしている」
モスフードサービスの桜田厚社長はこの日の会見で、早朝営業の狙いをこう力説した。一部で先行実施していた早朝営業を、4月からショッピングセンターなどを除く1140店舗に拡大。ライスバーガーと豚汁に漬物を組み合わせた新メニュー「朝御膳『鮭』」(480円)など9品を販売する。
喫茶店のモーニングサービスなどをイメージし、早朝営業では「地域住民のコミュニケーションの場を目指したい」(桜田社長)という。団塊世代を中心にシニア客を伸ばし、年間10億円の増収をもくろむ。
カフェチェーン「プロント」を展開するプロントコーポレーションは、朝限定で昨秋売り出した「あさのラテ」シリーズを4月に拡大。機能性野菜を使う健康志向のサラダも発売し、働く女性の取り込みを図る。
牛丼チェーン「すき家」は、オクラと温泉卵、牛小鉢などをセットにした新機軸の「まぜのっけごはん朝食」(並・大盛り300円)が1月の発売以来好調。日本マクドナルドは「欧米で人気のメニューを導入し、朝食メニューを充実させる」(サラ・カサノバ社長)計画だ。
朝食の強化について、業界関係者は「特に繁華街は家賃が高く、店舗の稼働率向上が課題。たとえ客単価が低くても、稼げるだけ稼ぎたい」と打ち明ける。