「定着まで2~3年」
マクドナルドの新しい戦略について、いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員は「いわば原点回帰。まっとうで正しい路線だ」と評価する。家族客はマック全体の35%を占め、客単価も高いだけに業績回復の鍵となる。販促キャンペーンを多用した「原田路線」と比べ、接客サービスの改善は地味だが、王道といえる。
その半面、客足が戻るまでには時間がかかる。今期の業績予想は、既存店売上高を0~1%増と手堅く見積もる。鮫島氏は「ファミリー路線の定着には2~3年かかるだろう」と分析。「コンビニから客足を奪い返す手段とはいえず、分かりやすい短期的な施策も必要だ」と提案する。
また、野村証券の繁村京一郎シニアアナリストは「目新しさで客を引きつけても長続きしない」と指摘する。そのうえで、今春の消費税率引き上げも念頭に「客足の回復が先決で、低価格志向への訴求は欠かせない」と強調する。
今年1月のマックの販売実績は、セット価格700円前後の期間限定キャンペーンが客単価を押し上げ、既存店売上高が前年同月比3.4%増と7カ月ぶりに改善。しかし、客数は5.3%減となり、9カ月連続のマイナスに終わった。カサノバ氏の路線変更の成果が問われるのはこれからだ。(山沢義徳)