「技術とデザインで、もう一度、三菱自動車ブランドを構築したい。他社がやれないことをやれと育てられた。この気持ちをもう一度、復活させたい」
6日の就任会見で、技術屋としての気概を示した。
温厚な性格で、「社内で怒鳴った姿は見たことがない」(三菱自社員)。自分の経験になるためと、「頼まれたら断らない」を信条に仕事に励む。
三菱自は平成12年、16年のリコール隠しを経て販売不振に陥り、独米ダイムラー・クライスラー(現・独ダイムラー)との資本提携も解消。人材も大量流出し一時、負のスパイラルに陥った。
現在も「開発、生産のリソースが十分な状況ではない」と語るが、「若い技術陣の力を引き出していく。デザインは会社の規模に関係なく、勝負できる」と宣言した。
今後、三菱自の追い風として、得意のスポーツ用多目的車(SUV)の世界的な流行と、先頭を走る電動車両の需要拡大を挙げる。そのうえで、「斬新なSUVを出すメーカーにしたい」と語る。
入社の理由は「他社よりも格好良い車を出す会社だったから」。現在も愛知県の山間部をよくドライブする。(飯田耕司)
相川哲郎氏(あいかわ・てつろう)東大工卒。昭和53年4月、三菱自動車。平成16年に常務執行役員、17年から常務取締役。6月25日の株主総会後に社長に就任する予定。長崎県出身。