2014.1.10 05:35
データを基に立体造形物を複製できる3D(3次元)プリンターを活用し、患者本人の皮膚などから動脈を作製する技術を、佐賀大学と東京のバイオベンチャー企業が共同で開発した。3Dプリンターでの血管作製技術の確立は国内初。作製した動脈は人工透析や心臓の冠動脈バイパス手術の移植などに使う予定で、佐賀大医学部で動物への移植実験が進んでいる。臨床試験(治験)などを経て、2018年の実用化を目指す。
佐賀大大学院工学系研究科の中山功一教授(先端融合工学)と、パナソニックで携帯電話などを開発していた口石幸治氏が10年に設立したバイオベンチャー企業、サイフューズ(東京)が共同で開発。基本特許は各国に出願済みで既に日本、米国、中国、シンガポールで権利を取得した。
腎臓機能が低下する「慢性腎不全」となった患者は、血中の老廃物や毒素などを体外で除く人工透析治療が必要だが、大量の血液を透析機に送り込むため、樹脂製の人工血管を移植することが多い。ただ、樹脂製の人工血管は体内で菌の感染を拡大させる恐れがあるのが課題だった。患者本人の細胞から作製された人工血管は自己免疫が働きやすく、抗感染性に優れるとされる。