野村修也・中央大法科大学院教授の話
国費投入には、よほどの大義名分が必要だ。資本主義では最初に責任をとるのは株主、次が金融機関などの債権者というのが基本的なルール。民間企業を税金で救済するのは例外中の例外だ。まずは東電を破綻処理し、株主や金融機関が責任を取って初めて国費投入の議論になる。
破綻処理すれば被災者への賠償が滞るとか、電力債が不履行になり市場が混乱するといった主張がある。しかし、東電を新生の電力会社と事故対応の会社に分け、後者を破綻処理して国営化すれば問題は起きない。
魚本敏宏・野村証券チーフクレジットストラテジストの話
福島第1原発事故は、まず東電に責任があるが、原発政策を推進してきた政府にも責任はあり、線引きは難しい。政府も責任を免れない以上、民主主義の原則に基づけば国費投入には相応の合理性がある。
東電の破綻処理を求める意見もあるが、本質的な解決にならない。問題の本質は事故処理の難しさにあり、処理にかかる東電の負担に上限を設けることも重要。一方、東電は事故の責任を取らないといけない。組織改革や人員削減などの合理化に積極的に取り組む必要がある。