東京電力が31日発表した2013年9月中間連結決算によると、経常損益は電気料金の値上げやコスト削減が功を奏し、前年同期の1662億円の赤字から1416億円の黒字に転換した。黒字は福島第1原発事故が起きる前の10年9月中間連結決算以来3年ぶりとなる。
最終損益は、原子力損害賠償支援機構資金交付金6662億円と固定資産売却益742億円を特別利益として計上したことなどから6161億円の黒字(前年同期は2994億円の赤字)だった。東電は修繕の先送りなどで14年3月期の黒字達成を目指すが、柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働時期は見通せず、経営再建への道のりは依然厳しい。
東電は昨年4月に企業向けの電気料金を平均14.9%、同9月には家庭向け料金も平均8.46%値上げした。今夏は猛暑で電力販売が伸びた。さらに、発電設備工事の先送りなどで修繕費を大幅に圧縮。競争入札の積極的導入で資材調達の方法を見直すなどコスト削減を達成し、収益改善につなげた。
しかし、福島第1原発の汚染水をめぐるトラブルが深刻化し、原子力規制委員会の田中俊一委員長は「極めて憂慮すべき事態」として抜本的な改善を要求。東電が9月27日に申請した柏崎刈羽6、7号機の再稼働に向けた安全審査は棚上げされている。