東京・歌舞伎町にそびえ立つドンキ新宿東口店。店内に入ると中国語のアナウンスが響く。商品棚には訪日客に人気が高い抹茶味の菓子が並び、タイ語の案内表示も付く。地下の食料品売り場では、夫婦で旅行に来たというタイ人の女性(50)が「友人のお土産に」とスナック菓子をかごに詰め込んでいた。
ドンキは7月に外国人客の対応部署を分社化し、「ジャパンインバウンドソリューションズ」を立ち上げた。自治体や観光協会と連携し、インバウンド(誘客)事業に本格参入する。同社の中村好明社長は「地域に外国人を呼び込むことが重要。街を訪れた人はドンキに立ち寄ってくれる」と狙いを話す。
日本百貨店協会も誘客に取り組み、2月にはタイで市場調査を実施。現地の主要旅行会社約30社を招いた説明会には日本の百貨店6社も参加した。タイとマレーシアでも年内に説明会を行うことを検討している。
ホテルや旅行業界では、イスラム圏からの観光客を狙ったサービスを拡充する動きも強まっており、関連業界のおもてなし競争は激しさを増している。(松岡朋枝)