ジャーナリスティックな人だったな。ただ、本名で出版すると雑誌からの執筆依頼が止まることを心配して、お公家さんか剣豪のようなペンネームをつけてくれたんだ。
《51年10月末、『間違いだらけのクルマ選び』が刊行された。車種別の採点表をつけ、時に辛辣(しんらつ)にメーカーを批評する内容が読者の共感を呼び、77万部のベストセラーに。「狭いシートは動く四畳半」など批判は容赦ないが、さりげないユーモアとダンディズムが香り立つ文章は、専門知識がなくても読める名文だ》
子供のころから勉強はほとんどしなかったが、本はよく読んだ。海外の推理小説や冒険小説の翻訳もの…アリステア・マクリーン(『ナヴァロンの要塞』)なんかが好きだった。クスッと笑えるユーモアが好きでね、大人の文章はいいなあと。それと小林彰太郎さん(84)=『カーグラフィック誌』創設者=の上品な試乗記も参考にした。