大切な試乗感覚とユーザー目線
クスッと笑えるユーモアが好きでね、大人の文章はいいなあと。
タイトルの一部はその後、ほかの書籍ばかりか一般社会でも使用されるポピュラーなものになった。文明批評も含んだ『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)は、昭和51年に自動車評論家の徳大寺有恒さん(73)が著し、モータリゼーション時代にのりベストセラーとなった。自動車メーカーに、正面切って“注文”をつけた当時の覚悟を振り返ってもらった。(聞き手 伊藤洋一)
昭和50年ごろ、乗用車は頑張れば手に入る消費財になっていた。それに合わせるように、自動車好きのための雑誌が次々に創刊されてね。新車の紹介とか、エンジンなど車の構造を説明したものとか、実際に運転した試乗記もあったな。もちろん面白かったんだが、こっちも車好きだから“自分ならこう書くのにな”と考えていたんだよ。