少子高齢化で国内市場の大きな成長が見込めない中、日本の飲料各社は海外のM&Aを積極化させている。ライバルのキリンHDやアサヒグループHDがアジアなど新興国を中心にしているのに対し、サントリー食品はこのところ欧州の先進国で、すでに確立された認知度の高いブランド買収に力を入れている。サントリー食品の12年の海外売上高3034億円のうち、欧州は1237億円と4割以上を占め、「欧州に偏りがち」(大手証券アナリスト)と危ぶむ声も出ている。
というのも、今回買収したグラクソの膝元の英飲料市場は規模こそ欧州2位だが、成長率は年率2.7%と低く、2桁成長の新興国には及ばない。アジアやアフリカにも進出しているものの、売上高の約8割を英国市場に依存している。鳥井社長は「新興国市場では年率10%の成長を見込む」と試算するが、新興国での市場拡大には「分散しているアジアの既存事業を早期にまとめ、欧州事業との相乗効果を発揮するための足場固めが必要不可欠」(野村証券の藤原悟史アナリスト)と指摘されている。