そして、2人が報告した実証実験の結果は本当に恐ろしいものでした。運転手は何もしていないのに、2人が後部座席でパソコンを操作すれば、勝手にヘッドライトが点灯したり、クラクションが鳴ったりしました。さらに、時速約130キロで走る「プリウス」に勝手にブレーキをかけ、ハンドルを自在に動かし、エンジンを加速させることにも成功。また低速で走る「エスケープ」のブレーキを、運転手が踏んでも作動しないようにしたといいます。
「こんなことが、群衆のそばにいるあなたの近くで起こったらどうなるか、想像してみてください」
バラセク氏はロイター通信の取材にこう答えました。
この実証実験の結果を受け、米国のトヨタ自動車の広報担当はロイター通信に「車載コンピューターのシステムを見直す。自動車メーカーはこうしたシステムのセキュリティー向上のため多額の投資を行ってきたが、不具合が残っていた」と説明。フォード側も「真剣に対処する」とコメントしました。
ちなみに、車載コンピューターへのハッキング実験は2010年、米ワシントン大学と米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者らも実施し、ほぼ全種類の車載コンピューターへのハッキングやシステムのプログラム書き換えが可能と証明しています。