経営再建中のシャープで“ゾンビ経営者”と株主らに批判された社長経験者たち。経営危機を招いた過去との決別を目指す高橋興三社長は、迅速な経営判断を下すため自身への権限集中にこだわりをみせるが、会長、特別顧問、技術顧問(フェロー)として社内にとどまった歴代の首脳は今夏、どう過ごしているのだろうか。
前社長は黒衣(くろご)
「液晶事業の改善が大きく寄与した。回復基調に入ってきた」。
8月1日、平成25年4~6月期の連結決算を発表した高橋社長は、安堵(あんど)の表情を浮かべた。
本業のもうけを示す営業損益は30億円の黒字を確保し、941億円の赤字だった前年同期から大幅に改善した。6月末に就任した高橋社長にとって、「前社長の奥田隆司会長の敷いたレールにほぼ乗っただけ」(関係者)ともいえるが、円安効果で太陽電池事業が黒字転換したうえ、人件費などの固定費削減などリストラ効果も利益を押し上げた。就任後初の決算発表をひとまず無難に乗り切った形だ。