マカオ経済に詳しい塩出浩和・城西国際大准教授は「マカオ経済がカジノ、とりわけ中国国内の顧客に依存する状況はしばらくは変わらないだろう。今後、中国から比較的近い東南アジアなどで増えている新たなカジノに人気が分散すると、マカオ経済へ打撃となる可能性がある」と懸念材料を挙げる。
このため、「観光の多様化に加え、隣接する珠海市横琴地区などで、マカオが主導権をもって漢方薬など特徴ある製造業を推進したり、マカオの水源がある中国の地方の環境保全に力を入れる『グリーンマカオ』という先進的な環境への取り組みのアピールなど、カジノ一本足から脱却できるかが、マカオ経済の今後の命運を左右する」と指摘する。
13年1~3月期の域内総生産(GDP)は、前年同期比10.8%増と堅調なマカオ経済。ただ、カジノ関連収入の伸び率は近年鈍化する傾向にある。シャドーバンキング(影の銀行)問題など中国経済の先行きが懸念される中、マカオがこれまで以上の飛躍を遂げられるか、新たな戦略に世界中の関心が集まる。(那須慎一)