「川下」との連携
みずほ証券の佐藤和佳子シニアアナリストは「素材事業は少しでも景気に左右されないよう、消費者に近い川下産業との連携を加速させる必要がある」と強調する。
素材メーカーは技術力や開発力はあるものの、消費者との距離が遠くニーズをつかみにくい。川下産業と組んで付加価値の高い素材を開発し、ニーズに合った製品に確実に採用される仕組みを作れば、利益率の向上や安定的な収益源の確保につながる。
帝人はGM以外の川下産業とも連携を進めている。昨年は家具チェーン大手ニトリとの共同開発事業を立ち上げ、専門組織「ニトリプロジェクトチーム」を新設。着火しても燃え広がりにくいこたつ布団や、節電効果のある遮熱レースカーテンなどを手がけてきた。今後も両社で年間2~3商品を開発し、順次市場に投入する計画だ。
日本の繊維産業は経営の多角化が進み、帝人のように繊維を基幹事業とするメーカーは少数派となった。それだけに“名門復活”の行方を左右する同社の立て直し策は業界の注目を集めそうだ。