侵食するアマゾン
そもそも両社の経営理念は「水と油」だ。大量仕入れや送料無料化などで低価格攻勢を仕掛けるアマゾンは薄利多売の「徹底した顧客至上主義」(ジェフ・ベゾス最高経営責任者)。
対して、中小商店の集合体とも言える楽天は、売り手側の収益にも配慮したうえで、買い手の利便性も追求する「共存共栄の経済圏」(三木谷浩史会長兼社長)を志向する。だからこそ、流通総額にこだわる。
楽天市場の開設が平成9年、アマゾンの日本進出は12年。当初は業態や取扱商品の違いからすみ分けができていたが、アマゾンが19年、優良テナントを集めた楽天型のモールを開設。以降、ファッションや食品など楽天の得意分野に商圏を拡大してきた。
しかも、自社で大規模な物流倉庫を持つアマゾンは、ユーザーが複数店舗で商品を購入した際に一括配送が可能だ。各出店者が個別に発送し「注文した数だけ呼び鈴が鳴る」(三木谷氏)楽天よりも利便性が高い。