EV同様 高価格が普及のハードル
業界では、GMの動向を気にする向きが多い。「インフラ整備や国際規格づくりにあたっては、フォードと並んで発言力の強いGMが鍵を握る」(国内自動車メーカー幹部)という理由からだ。FCVをめぐり、GMが今後、第3極を形成するのか、あるいは先行する2連合に加わるかによって勢力争いに変化が起きそうだ。
ただ、FCVの普及に向けては、高価格という高いハードルが待っている。
他社との提携によって膨らむ開発コストを分担できるほか、量産効果による早期のコスト低下を見込めるとしても、現在想定されている1台当たりの価格は「安くても400万~500万円」(同)。
補助金政策があってもなかなか普及しないEVをみても、劇的なコスト低下は不可欠。しかも、EVの充電設備と並行して水素スタンドを整備するのは容易ではない。
自動車業界に求められるのは覇権争いよりも、全社が一体となった普及策といえそうだ。(飯田耕司、山沢義徳)