「究極のエコカー」とも呼ばれる燃料電池車(FCV)の開発をめぐり、自動車メーカーの合従連衡が活発になってきた。
トヨタ自動車が独BMWと提携したのに続き、日産自動車も独ダイムラー、米フォード・モーターと共同開発することで合意した。立て続けに提携の動きが出てきたのは、次世代のエコカーとされる電気自動車(EV)の販売が伸び悩み、各社とも燃料電池車の開発に傾斜していることが背景とみられる。2015年の市販を控え規格標準化に向けた争いも予想される中で、どこが主導権を握るのか。その鍵は米ゼネラル・モーターズ(GM)が握るとの見方が多い。
迫る実用化
「今後の自動車市場で中心的な役割を果たせる」
BMWのヘルベルト・ディース上級副社長は、1月24日のトヨタとのFCVに関する提携記者会見で、その狙いをこう説明した。
トヨタはFCVについて、いったんはGMと共同研究に合意しながら、特許の開示などをめぐって折り合わず、06年に断念した経緯もあり、これまで自前主義を貫いてきた。今回、BMWを選んだ理由について「長期にわたって信頼を築ける」(内山田竹志副会長)としている。