産官学連携 国も補助金で後押し
経済産業省が13年度予算の概算要求に盛り込んだ「県医療機器開発・安全性評価センター整備事業」(144億7000万円)への期待も大きい。機器試作のスピードアップや部材・製品の改善、安全性の向上などを担い、大型動物を使った安全性評価では国内初の施設となる。現在は米国の施設で行っており、センターが整備されれば時間とコストを大幅に抑えられる。
林精器製造は11月下旬に郡山市で開かれた医療機器関連の展示会「メディカルクリエーションふくしま2012」にも出展し、遠心分離装置などをアピール。全壊した本社・須賀川事業所は国や県の補助金も活用して年内に再建を終え、13年2月までに操業を始める。「これで復興に向けた新たなスタートが切れる」と益子氏は意欲を燃やす。
「震災復興に向け、県内企業の活性化が最優先課題」(内堀雅雄副知事)となる中、医療産業の育成を掲げる国家戦略も追い風に、福島の医療関連産業は着実に実績を積み上げている。
ただ、国の支援が途切れた後も産官学連携が機能し、県内の関連中堅・中小企業が新規事業の収益化を早期に図れるかは不透明だ。「コンサルティングのマンパワーが不足しており、スタッフを強化しなければ新たな施設も単なる箱モノに終わりかねない」と内閣官房医療イノベーション推進室の妙中義之次長は危惧している。(松岡健夫)