東日本大震災と津波、東京電力福島第1原発事故に襲われた福島県で、医療関連産業を牽引(けんいん)役に産業復興を目指す取り組みが本格化している。
2005年度にスタートした産官学連携の医療立県づくり「うつくしま次世代医療産業集積プロジェクト」を、国の支援を受けて加速。県内に拠点を置く企業の医療機器生産額は11年に前年比7.1%増の976億円となり、前年の全国6位から5位へと順位を1つ上げた。ただ、医療現場のニーズを大学や企業が持つ技術に結びつける「医工連携」や事業パートナーを発掘するビジネスマッチングを仲介できる人材不足が否めないなど、さらなる成長に向けた課題も少なくない。
海外需要開拓も
「昨年は『日本は大丈夫か』と心配されたが、今年は『また来たか、頑張っているな』と励まされた」。ドイツで毎年11月に開かれる世界最大の医療機器見本市「MEDICA(メディカ)」に出展した林精器製造(同県須賀川市)の益子邦雄・経営管理部事業開発グループ長はこう語る。