リーマン・ショック後の世界的な自動車不況の中でトップに就き、米国での大規模リコール(回収・無償修理)騒動では米下院の公聴会に呼ばれ、異例の説明に追われた。
その後も東日本大震災、タイの大洪水など次々と難題が立ちはだかり、トヨタ社員も「好況でなくても、普通でさえあれば、きちんとした実績を残せるのに…。有事がこれほどまで続くとは信じられない」とため息をつく。
悪運呼び込む御曹司
今年1~6月は世界販売台数で2年ぶりの世界首位を奪還した。今年のグループ世界生産台数は業界初となる1005万台に設定するなど“復活”を印象付けたが、日本政府による尖閣諸島の国有化を受けた中国での不買運動の影響で同国での販売が激減。
業界関係者は「この約3年は難題続きで、まるで章男氏が“悪運”を呼び込んでいるかのようだ」と冗談まじりに話した上で、「厳しい状況にもまれ、社長としての実力は間違いなくついているはず。好況時ならば、章男評は上向かなかったかもしれない」と指摘する。