こうした戦略が功を奏し、12年3月期の売上高営業利益率は4.7%を確保した。売上高が約2.5倍もあるヤマダ電機の4.8%と肩を並べ、業界でもトップクラスの収益力を誇る。ビックカメラはコジマとの単純合算では直近で2.4%にとどまり、ケーズには及ばない。
もっとも、少子化による人口減少で業界の先行きには暗雲が垂れ込める。日本政策投資銀行の試算によると、10年に約6兆円だった家電量販市場の規模は11年には約5兆円に後退し、12年以降は4兆円台半ばまで縮小する見通しだ。業界は既に、需要よりも店舗数が多い「オーバーストア」に陥っている。
地方に不採算店を多く抱えるコジマがビックカメラに「身売り」したのも、生き残りの選択肢が限られていたためだ。
そもそもケーズは再編をリードしてきた経緯がある。東北地区のデンコードや中京・東海地区のギガスといった量販店を取り込み、2000年度に11位だった家電量販店の売上高ランキングは11年度には3位に上昇した。
加藤氏は「今は組みたい相手はいない」と静観の構えをみせる。もっとも「家電量販のビジネスはスケールメリットがモノをいう」(外資系証券アナリスト)世界。仕入れ量がメーカーとの値引き交渉を大きく左右する。ケーズだけでなく、ヤマダや業界3位のエディオンなどのライバルもどう動くのか。7社に集約された大手が、さらに絞り込まれるとの見方は強い。(松元洋平)