美容家電の海外展開本格化 パナソニックなど独壇場「将来は日本を超える」

2012.6.20 05:00

脱臭や除菌に効果があるとされる水に包まれた微粒子イオン「ナノイー」を放出するパナソニックのスチーマー=東京・永田町

脱臭や除菌に効果があるとされる水に包まれた微粒子イオン「ナノイー」を放出するパナソニックのスチーマー=東京・永田町【拡大】

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 電機各社が美顔器やヘアドライヤーなど、美容家電の海外進出の動きを加速させている。国内で好調の美容家電の販売網を広げ、テレビや白物家電などで中韓メーカーが席巻する海外市場を切り開きたい考えだ。「美しさを求める女性の需要は世界共通」と期待を高めている。

 「将来的には日本の販売をはるかに超える」

 脱臭や除菌に効果があるとされる水に包まれた微粒子イオン「ナノイー」を放出するドライヤーやスチーマーなどで国内市場をリードするパナソニックの担当者は胸を張る。同社は、中国やインドをはじめ、海外での販売を強化、2012年度は美容家電の海外売上高を前年度比約15%増の300億円と見込む。国内も合わせた売上高目標は約1000億円。数年内に、海外売上比率を5割超にまで引き上げる。

 シャープも上期中に、除菌や脱臭効果がある「プラズマクラスター」機能を搭載したヘアドライヤーをアジアを中心に海外展開する。

 各社が美容家電を強化するのは、値崩れしにくく、収益性が高いためだ。競合する海外メーカーがほとんどなく、日本勢の独壇場となる。財布のひもを握る女性へ企業ブランドを浸透させ、中韓メーカーに押されるAV機器や白物家電での巻き返しにつなげたい思惑もある。

 ただ、美容に対する考えが地域によって多種多様。「インドでは、『熱風を当てると髪が抜け落ちる』という人さえいる」(パナソニック)と、美容家電の普及には文化的な壁が立ちはだかる。肌に直接使用する美容家電は、消費者の抵抗感が特に強く、受け入れられるにはマーケティング活動が重要になる。美容機器製造・販売のヤーマン(東京都江東区)は、上海などの百貨店の一角で販売を始めているが、本格的に収益を上げるためには、コールセンターを整備するなど「数年かけて下地を整える必要がある」(ヤーマン担当者)としている。