ケーズは大型店の新規出店にこだわる。「当社の折り込みチラシの配布世帯比率は約45%と低く、全国での出店余地はまだ大きい」(加藤氏)とみる。
出店地域はヤマダが攻勢をかける都市部には目もくれず、郊外に徹する。「都心部の出店コストは郊外の10倍以上かかる。お客さんが郊外店の10倍以上来てくれないと成り立たない」というのが、その理由だ。
そして、ケーズのDNAともいえる「がんばらない」路線が戦略の随所に現れる。「背伸びしてがんばっても、ろくなことがない」という持論を貫いてきた加藤氏は「出来もしないことはやらず、やるべきことをきっちりとやる」と強調する。
そのDNAは、消えた特需を穴埋めする対策にも垣間見える。薄型テレビの落ち込みをカバーしようとヤマダなど競合他社は、太陽光発電システムや電気自動車(EV)の売り込みに力を入れている。それに対し、ケーズは「余計なことを考えず家電を売っていく」(加藤氏)。重点商品の冷蔵庫と洗濯機、掃除機の売上高(全店ベース)はいずれも4、5月に前年実績を上回った。
ヤマダと並ぶ利益率
無理して成長することで生じるムダを減らし、ローコスト経営を徹底するのも、ケーズの力の源泉となっている。
その代表例が、店頭での現金値引き。多くの量販店が集客に活用するポイントカード制は採用せず、会計処理などのシステムにかかるコストやカード発行の手間を省くことで、値引きの原資を手厚くしている。売れた商品の分だけ自動で発注する仕組みなど、効率化を図る投資にも抜かりがない。