東芝、半導体事業の3月末分社化で「債務超過」回避へ 巨額損失生んだ原発事業は縮小

 
記者会見する東芝の綱川智社長。左は成毛康雄副社長=27日午後、東京・芝浦の東芝本社(酒巻俊介撮影)

 米原子力発電事業で最大7千億円規模の巨額損失が見込まれる東芝は27日、半導体事業を3月末をめどに分社化すると発表した。外部から資金を募る入札を2月上旬に実施。3月下旬に開く臨時株主総会で正式決定し、決算期末に当たる3月末に負債が資産を上回る「債務超過」を回避したい考えだ。

 27日午後に記者会見した綱川智社長は、リスク管理を強化するため、今回の巨額損失の原因となった原発事業を綱川智社長の直轄とすることを明らかにした。新規原発の受注計画の見直しや建設工事からの撤退を検討する。2月14日に行う2016年4-12月期決算発表にあわせて、損失額や再発防止策などを公表する。

 東芝が分社化するのは、大黒柱である記憶素子「フラッシュメモリー」を柱とする半導体事業の大部分。28年3月期の事業売上高は8456億円、営業利益は1100億円だった。

 新会社の株式の19.9%を売却し、2千億~3千億円を調達する案を軸に検討。入札には10社程度が参加する見込みで、激しい争奪戦が予想される。

 3月末に債務超過に陥れば、東京証券取引所の上場市場が第1部から第2部に降格するため、早急に手続きを進める。取引金融機関の大半は、こうした東芝の対応を受けて、2月末までは融資を継続することを決めている。

 綱川社長は会見で、分社化について「事業を強化し、投資を続けるために判断した」と強調。自らの経営責任については「大きく感じている。去就については指名委員会に委ねる」としながら、「3月末までは責任を遂行したい」と述べた。