(下)「原子力は主力事業から外す」と明言も…損失額や改善策明かせず 来月に発表持ち越し
東芝社長会見詳報会見開始から30分を超え、質疑応答は続く。矢継ぎ早の質問に対し、綱川智社長と成毛康雄副社長が窮する場面は見られず、テンポ良く回答していった。
--メモリー事業の分社化だが、どんな出資相手を望むか
綱川社長「今のところ細かくは開示できない状況だが、基本的な考え方として従業員(の雇用)、事業を強くするという観点で決めていきたい」
--メモリー事業の今後の成長資金は、どのように調達するのか
成毛副社長「メモリー事業の投資は、事業が順調にいっている場合はキャッシュフローがひとりで回る。2千億円レベルから3千億円レベルに増えてくる。今回、ひとつのやり方としてこのような方法をとる。分社化によって得られるお金で回せると思っているが、2月14日(16年4-12月期決算発表)以降に数字は判明すると思う」
--成長性の高い半導体事業の価値を毀損(きそん)することになってしまった
成毛副社長「『東芝の危機』を全力で乗り切ることに注力したい」
--海外の原子力事業は難しい事態が続いている。撤退もできず、リスクが残る中、どんな対策をとるのか
綱川社長「こうした事態になった原因、再発防止策を来月(の決算発表の場で)明らかにしたい」
--原発事業以外は好調とのことだが、ビジネスモデル自体が大きく改善したようには見えない
綱川社長「NAND(フラッシュメモリー)以外の半導体も黒字転換し、社会インフラ事業も利益率が高まっている。こうした状況の下、財務体質を強化して(現路線を)進めてまいりたい」
--米ウェスティングハウス(WH)社の保有を続けるのはなぜか。売るに売れないということか
綱川社長「海外事業に関しては、見直しを検討しているところだ。米国の原発4基は建設にからんでいるが、中国では建設を手がけていない。(建設から手を引き)リスクを遮断する形を目標としたい」
--将来に亘り、NAND型フラッシュメモリーと原子力の両方を手がけていくのか。どちらの方が大事なのか
綱川社長「エネルギー・社会インフラ・ストレージが東芝の3本柱であることに変わりはない。だがエネルギーの中から原子力を抜き出し、海外事業を見直すことが今回の変更点だ。NAND型フラッシュメモリーは、分社化しても注力事業であることに変わりはない」
--WH社の太い収益源である核燃料製造なども「見直し」の対象か
綱川社長「そこは重要な点であり、2月14日の決算発表の際に発表したい」
--新卒採用の再開についての考え方は
綱川社長「技術の伝承には人材が必要だ。採用は行っていく」
--原子力事業を「社長直轄」にするとのことだが、志賀重範会長の位置づけはどうなるのか
綱川社長「その点も2月14日の決算発表時に説明したい」
--東芝の再生は可能か
綱川社長「これを機に再生を果たす。後戻りはしたが、再生するために財務基盤を強化することから始めないといけない」
◇
会見は約50分で終了した。東芝は、今回の事態の引き金となった米原子力事業の最終損失額については、2月14日の第3四半期(16年4-12月期)の決算発表時に説明する。
◆【東芝社長会見詳報】(上)はこちら↓
関連記事