(上)「原子力以外は業績好調」と経営不安打ち消す綱川社長 半導体には分社化後も「成長投資続ける」
東芝社長会見詳報東芝は27日午後4時半から綱川智社長と成毛康雄副社長が出席し、東京・浜松町の本社ビルで記者会見した。綱川社長はまずこの日の取締役会でメモリー事業の分社化を決めたことを報告するとともに、「最注力分野だった原子力事業の位置付けを変える」と説明した。
焦点の半導体(フラッシュメモリー)事業の分社化に関しては、「資本強化の対策として、外部からの投資受け入れを視野に入れている」と説明。また「原子力事業を除いた事業は計画よりも好調に推移している」とした上で、財務基盤の強化に向け「全ての手段を講じていく」と強調した。
冒頭の説明は10分ほどで終わり、質疑応答へ移った。報道陣や証券アナリストからは次々に質問の手が挙がる。
--取締役会では全会一致で決まったのか
綱川社長「全員一致で決まった」
--外部資本の受け入れはどの程度か
綱川社長「外部資本は『20%未満』が基本的考え方だ」
--出資の受け入れに伴って技術流出の懸念もある。どんな相手が望ましいか
成毛副社長「いろいろなご提案があると思う。よくよく吟味して決めて参りたい」
--外部資本の受け入れは即効性がある一方、リスクをどう考えているか
成毛副社長「将来に向けてNAND型フラッシュメモリのビジネスを強化するのが目的だ。その考えに沿って進めたい」
--こうした事態に至り、首脳の進退は
綱川社長「責任を大きく感じている。進退というか去就は、指名報酬委員会に委ねる。資本増強については3月末までに遂行して参りたい」
--原発新設について「2029年までに64基」としていた方針は撤回か
綱川社長「基数は同じだとしても、建設から手を引く分、売上高が下がるといったことが考えられる。具体的な数字は中期経営計画の中で位置付けていきたい」
--分社化によって債務超過は回避できるのか
綱川社長「3Q(第3四半期決算)の数字はまだ確定していないが、あらゆる手段で資本増強に努める」
--稼ぎ頭のNAND型フラッシュメモリを切り売りすると、その収益を他分野の成長に回しづらくなるのでは
綱川社長「NAND事業への投資を今後も続け、強化したい。その一助になればという考えだ」
--今回の切り売りを見て、投資家は東芝を信用できると思うか
綱川社長「心配をさせてしまい、申し訳ないと思っている」
--不正会計の発覚以降、再生へ向けて頑張ってきた社員は落胆しているのではないか。ステークホルダーへのメッセージは
綱川社長「全事業を黒字化する目標に向け頑張ってきた。原子力はさておき、テレビ事業以外はすべて黒字化している。問題がある中でここまで改善した社員の頑張りに敬意を表している。また我々の技術、ヒトを信頼して支えてくれたお客様にご不安を与えたことを申し訳なく思っている」
◆【東芝社長会見詳報】(下)へ続く↓
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