キヤノンマーケティングジャパン社長・坂田正弘さん

2017 成長への展望

 ■IT・事務機器で攻勢 成果を顕在化

 --2020年12月期を最終年度とする長期5カ年計画の2年目を迎える

 「当社は中小企業に強いといわれてきたが、大手や中堅企業を重点ターゲットとして攻勢をかけてきた。その過程ではIT機器や事務機器の購入を検討する部門と緊密な関係を築き、仕事上の課題を聞き出した上での高度な提案が不可欠となるが、ノウハウが蓄積されてきちんと行えるようになった。結果としてBtoBビジネスの領域では一定の成果が出るようになったので、17年はさらに顕在化させたい」

 --成長を加速するための課題は

 「例えばネットワークカメラについては、東京五輪が開催される20年まで活発な投資が行われるため、17~18年が勝負の年となる。こうした中、1件当たりの受注金額が高い案件の場合、カメラを納めるだけでなく動画の処理や工事、保守に至るまで当社に任せたいという傾向が強くなっている。今まで以上にスピード感をもって対応できるようにするためにも、ソリューションや販売チャンネルの強化に向けたM&A(企業の合併・買収)や提携はありうる」

 --17年に力を入れていく事業領域は

 「印刷分野ではアナログタイプの機器に代わって、デジタル高速プリンターに対するニーズが急速に高まっている。製品的には他社と互角に戦えるので、営業とサービス体制を引き続き強化。専任スタッフの数を8割ほど増やす。印刷会社のその道のプロと対等に話すことができなければ、信頼を得られないからだ」

 --ITソリューションの強化も重点課題だ

 「ここ数年、セキュリティー関連に力を入れていて成果が出ている。情報漏洩(ろうえい)によるダメージは深刻だと経営者は改めて認識しており、潜在需要は大きい。さらなる攻勢をかけていきたい。また、われわれの事業分野はすべてITソリューションと関係している。医療分野では画像を3次元で把握できるソフトを提供するなど、より精度が高い診察態勢を支援している。ソリューションを組み込んだ方が他社との競争にも勝てているので、さらに一連の戦略を強めていく」

 --そのために必要なことは

 「組織については横の連携が行いやすい体制に組み替えていく。人員についても最も力を入れる分野に円滑に移行できるようにしたい。まだまだ縦の関係が強いので、トップダウンにより最良の組織づくりを目指す。また、専門性の高いスキル・ノウハウを身につけられるように教育・評価体制の強化を図る考えだ」

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【プロフィル】坂田正弘

 さかた・まさひろ 明大商卒。1977年キヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン)入社。2006年取締役。常務などを経て15年3月から現職。東京都出身。