建設現場、進む自動化 技能労働者の高齢化進み「成り立たなくなる」 鹿島、ダム工事に無人ダンプ投入
鹿島は11日、大分市のダム工事に日本で初めて自動ダンプカーを導入すると発表した。ブルドーザーや振動ローラーも自動化し、複数の重機を1人で操れるようにする。建設業に従事する技能労働者は高齢化に伴う離職で平成37年には26年比で約130万人減る見込みで、鹿島をはじめ大手ゼネコンは建設現場の人材不足を補おうと自動化を加速させる。(山沢義徳)
「ロボットやAI(人工知能)などで効率化しなければ、建設業界はいずれ成り立たなくなる」
鹿島の押味至一社長は、「担い手不足」への懸念を隠さない。若手や女性の入職者を増やす努力の一方で、強い期待をかけるのが施工の自動化だ。
同社が大分市の大分川ダムの建設現場に導入する自動の重機は計8台。ダンプで運んだ土砂を下ろしてブルドーザーでならし、振動ローラーで圧縮する-という一連の作業を、作業員1人がタブレット端末で行うことができる。建機大手のコマツと共同開発した。
リモコンによる遠隔操作とは異なり、一度指示した作業を各重機が連携しながら自律的に繰り返す点が大きな特長。GPS(衛星利用測位システム)機器などを積めば既存の重機を自動化できる仕組みで、改造費は1台当たり約500万円。鹿島は今後、搭載可能な機種を広げていく。
同業他社も取り組みを急ぐ。大成建設はビルの柱に使う鉄骨を現場で溶接するロボットを開発、4月以降投入する。熟練工と同じペースで長時間作業が可能。大林組は堤防工事などで盛り土した地盤の沈下量を、測量士がいなくてもリアルタイムに自動計測できるシステムを実用化した。
清水建設は今月、米シリコンバレーに社員を駐在させた。建設業に応用できそうな有望技術を持つITベンチャーの情報を集め、提携の糸口を作るのが任務だだ。
日本建設業連合会によると、平成26年に343万人いた技能労働者の数は37年に216万人まで減る見通し。新規入職者を集めるだけでは、大量離職の穴を埋めることは難しい。
これを問題視する国土交通省は昨年を「生産性革命元年」と位置付けた。大型公共工事の入札条件として施工時のIT活用を求め、発注者の立場から自動化の加速を促す。29年度当初予算には、IT化に向けた産学官協議会の運営費など3億円を計上した。
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