NTT社長・鵜浦博夫さん(67)
2017 成長への展望■グループ連携で海外事業強化
--海外事業の強化策は
「売り上げや利用者拡大は順調に進んでいる。グループで海外事業を担う会社(ディメンションデータやNTTコミュニケーションズなど)が連携強化のために協議に入っており、ノウハウの共有やクロスセル(グループ連携による受注)拡大が期待できる。調達面でのコスト削減や仕様の統一で無駄をなくす。重複業務の整理など効率化も行うが、乱暴にやって優秀な人材に辞められたら元も子もないので、時間をかけて慎重に進めたい」
--距離による設定から一律の通話料金に変更される固定電話のIP(インターネット通信規格)化を2025年頃までに行う
「物理的に交換機の寿命がくるのでIP化するということだ。電話機を買い替える必要が生じたり、料金が高くなったりすれば固定電話はさらに衰退してしまう。最小限の追加コストでできるように(総務省の審議会で)議論していただいている。『マイライン』(通話ごとにあらかじめ登録した電話会社を選択できるサービス)など、過去のルールを維持するのに投資することは勘弁してもらわないといけない。『利用者に負担をかけない』ということを前提に進めたい」
--17年に策定する中期経営計画の考え方は
「人工知能(AI)、ビッグデータ、VR(仮想現実)などの技術を使って、いろいろな業界の人たちが新しいことができるようになった。それを一緒になってやっていかないとわれわれ自身がだめになる。パートナーとしてお手伝いすることが重要で、『BtoBtoX』(サービスを提供する会社をNTTの技術で支援するビジネスモデル)をさらに推進する」
--NTTドコモの携帯電話料金の方向性は
「(実質0円など)バランスを失した販売競争を見直すことで、徐々にメニューの多様化を進めることができる。5~10年前と比べて携帯電話が使いやすくなったのは各社が投資をしてきたからで、回収の見通しは無視できないが、中長期的にはコストを下げ、利用者が使いやすい料金を考えていくのは当然だ。安売りの競争をするよりも、サービス面や設備効率の競争にならざるを得ない」
--携帯通信のコスト削減策は
「(KDDI、ソフトバンクに)基地局の共通化を提案している。誰にとっても不都合ではないし、コストが下がって還元すれば利用者も喜ぶ。トンネルなどですでにやっていることを広げていきたい」
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【プロフィル】鵜浦博夫
うのうら・ひろお 東大法卒、1973年日本電信電話公社(現NTT)入社。東日本電信電話(現NTT東日本)東京支店副支店長、取締役第一部門長、常務経営企画部門長、副社長新ビジネス推進室長などを経て、2012年6月から現職。石川県出身。
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