三井生命が「ESG投資」本格参入 世銀豪ドル建て債100億円引き受け

 
三井生命本店が入るビル=1日、東京都千代田区大手町

 三井生命保険が環境保全や社会貢献につながることを重視して投資先を選ぶ「ESG投資」に本格参入したことが1日、分かった。11月に世界銀行が初めて発行した豪ドル建て15年債を100億円で引き受けた。超低金利環境が続く中、親会社である日本生命保険の運用ノウハウを活用し、投資先の多様化に取り組む。今年度中に総額230億円を投じる計画だ。

 三井が引き受けたのは豪ドル建て15年債で、資金は途上国の開発支援プロジェクトに活用される。利回りは3%強。1日時点のオーストラリア10年物国債の利回り2.7%台後半と比べても安定した水準で、三井はこれを年金保険や貯蓄性保険など、豪ドル建て保険商品の利回り確保に活用する。

 三井は今年度中にさらに100億円をESG関連の外貨建て債券に投資する計画。年間で外債投資額に占める比率は1割近くになる見通しだ。このほか、同社は7月にも、日本生命の資産運用会社を通じてESG関連の国内株ファンドに30億円を出している。

 日本生命と三井は昨年12月の経営統合以降、グループ一体で競争力向上に取り組んできた。三井にとっては財務基盤の強化につながった上、来年からは日本生命から商品供給を受け、品ぞろえの強化も図る。日銀のマイナス金利政策の下、国債での運用が厳しくなる中、両社は運用高度化の取り組みの一環でESG投資を加速している。

 ESG投資とは、国連が2006年に提唱した責任投資原則。機関投資家に環境問題や貧困問題に配慮し、長期的視点から投資することを求めている。欧米に後れを取っていた日本でも、保険会社のほか、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が賛同するなど、定着しつつある。