MRJが米拠点到着、新たな段階移行 試験加速、計画遅れ挽回
三菱航空機(愛知県豊山町)が開発中の国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)が28日夕(日本時間29日午前)、米国での飛行試験の拠点となる西部ワシントン州モーゼスレイクの空港に到着した。天候や設備面の環境が整った現地で試験を効率的に進める。2018年の初納入へ、新たな段階に入った。
当初は今年8月の米国入りを試みたが、機器の不具合により2日続けて離陸後に引き返し、約1カ月遅れの到着となった。プロペラ機「YS11」以来、半世紀ぶりとなる国産旅客機の開発は難航し、納入予定の延期を重ねてきた。三菱航空機は米国で試験を一気に加速させ、計画の遅れを取り戻したい考えだ。
MRJの試験1号機は現地時間の28日午後5時45分ごろ、モーゼスレイクのグラントカウンティ国際空港に着いた。同空港で最も長い4000メートル超の滑走路に着陸した後、消防車2台による放水のアーチで歓迎された。パイロットが降りると、格納庫で待ち受けた三菱航空機の関係者から一斉に拍手が起きた。
日本時間の今月26日に愛知県営名古屋空港を出発。北海道とロシア、米アラスカ州を経由し、約8000キロを飛行してきた。
三菱航空機の試験拠点「モーゼスレイク・フライトテスト・センター」の岩佐一志副センター長は「やっと到着したことで、ここで働く全員が感動している。納期までのスケジュールを守れるよう飛行試験を進めたい」と語った。
グラントカウンティ国際空港は米西海岸シアトル郊外に位置し、年間の晴天率は約9割に上る。複数の滑走路があり、飛行可能な空域も広いため、高い頻度で試験がやりやすいという。(モーゼスレイク 共同)
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