各メーカー、化粧品などの容器に工夫 高齢者や子供も使いやすく

 

 化粧品や詰め替え用シャンプーの容器に工夫を凝らし、高齢者や子供にも使いやすくした商品が増えている。メーカーは品質を競う一方、日常の使いやすさでも他社との違いを際立たせようと開発に力を入れる。

 ファンケル化粧品が10月に発売する60代向け化粧品の新ブランドは、洗顔料と化粧水の容器の形状を上下より中央の部分をやや細くして握る力が弱くなった人でも持ちやすくし、軽い力でもポンプを押せるようばねを弱めた。化粧水の容器は重さを約4割減らした。

 容器の表面には化粧落とし、洗顔料、化粧水、乳液の順に「1」から「4」の大きな数字を明記し、使う順番がひと目で分かるようにした。開発担当者は「握力や視力が低下し、化粧品を使うのがおっくうになったという人に試してほしい」と説明する。

 花王は1月に、詰め替え用シャンプーの容器フィルムをそれまでより薄くして形状を変えた。中身の量は同じだが見た目の印象は約半分。買い物の際にかさばらず収納もしやすい。捨てる際も小さく折りたためる。注ぎ口には強度を持たせて詰め替えの際にこぼれにくくし、外側に刻みのあるキャップは手が滑らず開けやすい。

 花王の調査によると、消費者の約9割が詰め替えで中身がこぼれるとの不満を抱え、花王の商品購入者のうち1割近くが「詰め替えが面倒」と他社の商品に流れていた。不満を解消し顧客離れを防ごうと、4年前に開発を始めた。

 生産設備の更新などでコストは増えたが、新容器の発売後は購入者が戻ってきた。子供や体に障害のある人にも好評。企画開発を担当した宿野部淳さんは「競合が厳しい市場だが、使い勝手の良さという点で他社との違いを打ち出したい」と話している。