国内電子部品、アップル離れ加速か 第1四半期の業績不振 脱スマホ、IoT強化急ぐ

 
電子部品有力7社の第1四半期実績と通期見通し

 電子部品大手7社の2016年4~6月期連結決算が4日出そろい、円高や米アップルの減産などの影響で全社、減収減益だった。電子部品メーカーはこれまでアップル依存の脱却を図ってきたが、スマホ市場の成熟化が進み、自動車やあらゆるモノをインターネットでつなぐ「IoT」向け部品を強化する動きが目立っている。今後も電子部品メーカーのアップル離れが加速しそうだ。

 電子部品大手の4~6月期連結決算は円高進行や「iPhone(アイフォーン)」の減産などで全社の最終利益が減少した。特にアップルへの供給比率が高いアルプス電気が、前年同期比69.5%減、日東電工が63.4%減と苦戦した。

 ただ、7社とも通期の業績予想は修正しておらず、強気な姿勢を示している。背景には昨秋から低迷が続いていたスマホの生産調整が一巡し、中国メーカーの高級機種向け部品の受注増があるようだ。京セラの山口悟郎社長もこれから「新製品向けの納入が増える」との見通しを示す。

 一方、市場ではアップルが9月に新型アイフォーンを投入する観測が高まっているが、「例年に比べて動きが鈍い」(電子部品メーカー幹部)との声もある。実際にアイフォーン人気は陰りを見せており、アップルが7月に発表した4~6月期連結決算は2四半期連続で減収減益だった。

 ここ数年、アイフォーンの機能は大きな進化がなく、以前よりも期待感は低くなっている。電子部品各社は3年前のアイフォーンの減産で下方修正を強いられ、アップル依存からの脱却を進めてきた。最近ではスマホの成長も鈍化しており、次を見据えた戦略を構築し始めている。

 日本電産は2日、米総合電機エマソンエレクトリックのモーター、発電機事業、村田製作所は7月28日にソニーからリチウムイオン電池事業を買収すると発表した。TDKも3月に自動車や産業機器向けセンサーを手がけるスイス企業を買収した。

 電子部品各社は成長が見込まれる自動車やIoT向け部品を強化するM&A(企業の合併・買収)に積極的に乗り出している。各社ともスマホ向けの販売比率を引き下げ、新分野の開拓を急いでいる。

 アップルは2日、日本で異例の発表を行った。15年に国内の865社に3兆円を支払い、これまで日本で71万5000人の雇用を作り出したことを明らかにした。発表の意図はわからないが、日本への貢献をアピールする狙いがあったものとみられる。

 ただ、電子部品メーカーの関心は、すでに違う方向にありそうだ。