ドコモ、インド撤退争いは泥沼の様相 タタとの損賠問題

 

 NTTドコモがインドからの撤退に向けてタタ・グループと争っている問題で、ドコモの吉沢和弘社長は29日、先月末にロンドン国際仲裁裁判所が出した損害賠償約11億7200万ドル(約1210億円)をタタ側がドコモに支払うよう命じる裁定に、タタ側が応じない姿勢を示していることを明らかにした。ドコモは、タタ・グループから支払いを確保するため、英国とインドで資産の差し押さえを申し立てており、今後、米国など各国でも同様の手続をとる方針。インド撤退をめぐる争いは泥沼の様相を示している。

 ドコモによると、タタ側は、当初ドコモが株主間協定に基づいて求めていたタタ・グループの携帯電話会社の株式売却の許可をインド準備銀行(RBI)に求めたが、RBIは許可しないという決定を下したという。しかし、吉沢社長は「国際仲裁裁判所は損害賠償の支払いを求めており、株式の買い取り代金ではないので、RBIの関与する問題ではない」とタタ側の姿勢を批判した。