仙台空港あす民営化 民間の資金とノウハウが柱 復興に向け地域経済活性
仙台空港(宮城県)が7月1日、滑走路などの運営権などを民間会社に移し、国管理空港として初めて民営化する。民間の資金と経営ノウハウを取り入れることで、サービス向上や効率的な施設運営を図る。国内外から新規路線や観光客を呼び込むのが狙いで、東日本大震災からの復興に向けた地域経済の活性化につなげる考えだ。
運営を始めるのは、東京急行電鉄や前田建設工業、豊田通商など7社が出資する「仙台国際空港」。昨年9月に国との優先交渉権を得て、22億円で30年間の運営権を取得した。すでに県と民間企業からなる第三セクター「仙台空港ビル」からビル運営を引き継いでおり、7月からは滑走路などと一体運営する。
新会社は今後、約342億円を投じて30年間で空港ビルの改修や格安航空会社(LCC)向け搭乗施設の増設などを計画しており、訪日外国人客など旅客数の増加に対応する。航空会社が負担する搭乗橋使用料を削減して新規就航を呼び込むほか、空港ビルでの総合案内機能強化、商業店舗の充実を図る。
7月1日からも民営化メリットを還元するため、有料だった屋上展望デッキの入場料をなくすほか、駐車場料金の割引サービスを実施する。6月下旬には、韓国のアシアナ航空とタイガーエア台湾が新規就航も含めて週7往復分の増便を開始。新会社は30年間で年間旅客数を約1.7倍の550万人、貨物取扱量を約4倍の2万5000トンに引き上げる目標を掲げる。
仙台空港は滑走路や駐車場などを国が管理・運営し、空港ビルは第三セクターが運営していた。空港ビルが黒字の一方、空港本体は赤字体質で、これまで空港施設が一体となった経営戦略がとりにくかった。
関連記事