もったいない精神で規格外食材活用を企画 エードット・伊達晃洋社長

 

 食の安心安全、おいしさを求める消費者から国産食材に対する関心は高まるばかりだ。一方で、大きすぎたり傷があるなどで規格から外れた食材は、食味に影響なくとも産地や流通現場で売り物からは排除され、廃棄処分となる場合もある。こうした「もったいない」食材を調理して「おいしく」提供する飲食店を企画し、注目を集めているのが飲食店プロデュースを手掛けるエードットだ。生産者や流通業者が一度は思い悩む規格外食材の活用を「もったいないアクション」と名付け、活動を続ける伊達晃洋社長の下には連日、関係者からの問い合わせが相次いでいるという。

 --「もったいないアクション」のきっかけは

 「2013年春に高級炊飯器のPRイベントを手がけ、築地市場の仲卸業者とのつながりができた。魚の競り場を見学した際に、目の前に並ぶ新鮮な海産物の5%が売れ残り、最終的には廃棄する場合もあると聞いた。仲卸の方も『もったいないんだよね』と。たとえばカニだと脚が1本ないだけで敬遠される。それなら、消費者に情報開示した上で調理して提供する魚介類中心の居酒屋をやれば、食材を有効活用できると考えた。仲卸業者にアイデアを出したところ、飲食業のプロを紹介され、協働する形で15年1月に東京・丸の内に第1号店となる『魚治』を開店した」

 --反響は大きく、その後は4店に拡大した

 「魚介中心は2店で、全国で30の農家・団体と連携する野菜中心の店と、山陰地方の食材を扱う天ぷら屋が都内で稼働している。開店する度、規格外問題に悩む生産者、消費者に売りたい小売り、食材として欲しい飲食店から問い合わせがある」

 --誰もがもったいないと思っても、手を付けてこなかった

 「築地市場で買い手の付かない食材や、生産地で市場に出せない規格外の野菜や魚介類を産直で扱うため、生産者の収入増につながった。それは今後も守りたい点だ。一方で、産直品は現状の規模では輸送費割合が高く、課題もある」

 --今後の展開予定は

 「当初、1社だった築地市場の仲卸との取引は10社に拡大した。年内に2店舗の新規出店を計画中だ」

 --首都圏以外での展開は

 「他地域で食を支える市場流通関係者からも関心が寄せられている。自分たちの取り組みで、川上から川下までの各所で食品廃棄につながる問題の存在と、加工(調理)次第でおいしく食べられるとアピールできたのではないかと感じている」

 --プロデュースのみで運営していくのか

 「もったいない食材を『おいしい』に変換する取り組み『もったいないアクション』の活動を継続するにはビジネスとしての収益をどう上げるのかが課題だが、飲食店経営を本業とする予定はない。生産者・流通・消費者が“三方良し”の関係となるようにモデル構築を進めたい」(日野稚子)

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【プロフィル】伊達晃洋

 だて・あきひろ 島根県立松江東高卒。2005年広告代理店に入社。07年、ワイズインテグレーションなどを経て、12年7月、エードット設立。31歳。島根県出身。

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【会社概要】エードット

 ▽本社=東京都渋谷区桜丘町24-4 第5富士商事ビル4階

 ▽設立=2012年7月

 ▽資本金=2050万円

 ▽従業員=25人

 ▽事業内容=セールスプロモーション、PR、飲食店プロデュース