鉄鋼大手3社、中国の安値攻勢で採算悪化 平成28年3月期決算 神鋼は赤字転落
鉄鋼大手3社の平成28年3月期連結決算が28日出そろい、最終損益は新日鉄住金とJFEホールディングスが大幅減となり、神戸製鋼所は3期ぶりの赤字に転落した。内需低迷と過剰生産能力に苦しむ中国メーカーが東南アジアなどで安値攻勢をかけ、海外の鋼材価格が大幅に下落。日本メーカーの採算も悪化した。
海外の市況悪化に加え、国内も新車販売の低迷などで鋼材需要が低迷した。原油安で油田開発が停滞し、エネルギー向け鋼管の需要も落ち込んだ。
同日決算を発表した新日鉄住金は、初めて業績予想を開示した昨年7月に2600億円の最終利益を予想していたが、相次ぐ下方修正を経て前期比32.1%減の1454億円で着地した。粗鋼生産量は4453万トンと、279万トンも減少した。神戸製鋼所は、鉄鋼事業の収益悪化に加えて、中国のインフラ投資が冷え込むなかで、油圧ショベル販売も大幅に減少した。
中国政府はここにきて過剰生産の解消に向けた施策を打ち出し、鋼材価格も上昇に転じている。しかし、一部で生産を拡大する動きもみられ、再び値下がりする可能性も否めない。
29年3月期の業績予想について、新日鉄住金は「原料価格、鋼材価格が不透明な動きをしている」(栄敏治副社長)として開示しなかった。神戸製鋼所は売上高を前期比4.9%減の1兆7500億円、最終損益を200億円の黒字(前期は215億円の赤字)と予想した。
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