カリスマ去り流通業界に激震 セブン&アイ鈴木会長、辞任を表明
セブン&アイ・ホールディングス(HD)の鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)(83)は7日、東京都内で会見し「引退を決意した」と述べ、辞任を表明した。鈴木氏は、子会社のセブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長兼最高執行責任者(COO)(58)を退任させる人事案を主導したが、同日の取締役会で否決されたことを受け、経営を混乱させた責任を取り、辞任することを決めた。
人事案に対する取締役会の決議は反対6票、賛成7票、棄権2票で、成立に必要な過半数を確保できなかったという。
「物言う株主」として知られる大株主の米ヘッジファンドのサード・ポイントは、井阪氏の経営手腕が好業績につながっているとして、井阪氏の退任に反対を表明するなど、社内外で波紋が広がっていた。
鈴木氏は1963年にイトーヨーカ堂に入社し、コンビニエンスストア業態を日本で初めて導入。セブン&アイを国内最大級の流通企業に育てるなど手腕を発揮した。
ダイエー創業者の故中内功氏と並ぶカリスマ経営者が一線から退くことになる。
記者会見で鈴木氏は、セブン-イレブンの井阪氏の退任を提案した理由について、「COOとしての役割を果たしてきたかというと、物足りなさがあった」と説明した。
新経営体制については「新しい人事案を作らなければならない。近く固める」と述べた。強力なリーダーシップを持つ鈴木氏の退任でセブン&アイは今後、難しいかじ取りを迫られそうだ。
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