「物が不揃いであることは、それぞれに道理がある」
チベットやウイグルといった他文化を“浄化”し漢文化に「揃える」凶暴を「道理」と詐称する傲岸不遜。以下、米政府・軍に影響を持つ現代を代表する戦略家エドワード・ルトワック氏(72)の著書《自滅する中国/なぜ世界帝国になれないのか=芙蓉書房》の助けを借りて論じる。
《自滅する中国》に通底する論理的支柱の一つは、一方的に勝ち続ける過程で相手の反動を呼び起こし、結局は自らを滅ぼす逆説的論理《勝利による敗北》。政治・軍事・経済・文化・移民…あらゆる分野での国際常識を逸脱した台頭・侵出は畢竟、諸外国の警戒感や敵愾心を煽る。
中立的立場の国や友好国にとっても許容限度を超え、離反をも誘発。敵対国同士の呉越同舟さえ促す。そうした国々は公式・非公式に連携・協力し、場合により同盟構築に関係を昇華する。国際情勢は中国にとり次第次第に不利になり大戦略・野望をくじく結末を引き寄せる。