厳しい就職戦線の中、伝統や実績がない大学の学生は、安易に内定を得られるが劣悪な労働環境の“ブラック企業”に就職してしまう場合があるという。ある卒業生は、商品を売るために社員数人で高齢者を取り囲んで高額ローンを組ませる会社に就職し、数年で退社。何回かの転職の末、しっかりとした会社に就職した。悪徳商法まがいの会社はその後、破産したという。
職業人生把握を
文部科学省の学校基本調査によると、昭和30年度に7.9%だった大学進学率は平成21年、5割を超えた。背景には、1990年代以降の規制緩和で、大学や学部の新増設が進んだことがある。昭和37年度に260校だった大学が、平成2年度は507校、23年度には780校と、50年間で3倍に増えた。
高校からの推薦入試、書類や面接だけで合否を判定するAO入試など、いわゆる“無試験”で入学できるシステムも拡大。受験の選抜機能が失われ、平均以下のレベルにある学生を分厚い層として取り込む形で、進学率は上昇を続けているという。
神戸国際大では先月、2、3年生を対象に、就職後の労働問題を学ぶ講座を開催。求人票や雇用契約書などの確認の仕方、パワハラを受けた際の対応、不利益を被ったときの団体交渉、異議申し立てなどをロールプレーイング形式で学んだ。