【続岐路に立つ 防衛産業】(中)
■庁創設で支援 先端技術移転が「抑止力」に
政府は2015年夏をめどに防衛産業政策を一手に担う組織「防衛装備庁」(仮称)を創設し、防衛装備品の輸出振興に取り組む。防衛省が輸出相手国の部隊に装備品の研修を行えるよう関連法も改正する。欧米主要国と同様、装備の海外移転を安全保障戦略に活用するのが狙い。防衛各社も安全保障外交の表舞台に立つことになり、国際化への対応を求められそうだ。
豪と政府間協定署名
日本とオーストラリアが「特別な関係」であることを確認した安倍晋三首相とアボット豪首相による8日の首脳会談。「太平洋安全保障条約(ANZUS)」などを介した緩やかな同盟は、防衛装備協力の政府間協定への署名によって、より強固な同盟に生まれ変わった。
豪州は「(航空自衛隊の次期主力戦闘機)『F35』や豪州製防護機動車『ブッシュマスター』など日本と共通の装備が多く、防衛協力の余地は極めて大きい」(防衛省幹部)とされ、日本周辺の安全保障を確保する上で頼れるパートナーとなる。最大の貿易相手国として豪州に強い影響力を持つ中国が日豪関係強化に神経をとがらせる中、前政権の親中路線を転換したアボット首相。その背中を押したのは日本の防衛技術だった。