モバイル端末の急速な普及に伴い、光回線を基盤とするインターネット接続事業者(プロバイダー)のビジネスモデルが揺らいでいる。スマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット端末でネットを利用する人が増える一方、光などの固定回線は契約者数が伸び悩んでいるからだ。特に大手電機メーカー系のプロバイダーは親会社の業績不振もあって、有力な身売り対象として浮上。NECが1月下旬に決めたNECビッグローブの売却が契機となり、業界再編の機運が高まりつつある。
ネットの主役交代
「ここまで金額がはね上がるとは思わなかった」。プロバイダー業界の関係者は、ビッグローブの売却額に驚きの表情を見せる。2度にわたる入札には9社前後が参加し、大半が数百億円で応札する中、落札した日本産業パートナーズは700億円程度を提示したとされる。
業界に詳しい証券会社関係者によると、プロバイダーの買収案件は「加入者数に1万円を掛けた額が相場」。約300万の会員数を持つビッグローブの場合、700億円は相場の2倍以上に相当する。