底の部分に空気が入った「エアマックス」シリーズで急成長したナイキは数年前から、「箱根駅伝」のサポートを本格的に開始。今年1月の大会で優勝した東洋大や駒沢大、早大など5大学にランニングシューズやユニホームを無償で提供し、ブランドの浸透に務める。
新興国中心の海外需要開拓も課題
一方、アディダスの日本法人は元アシックスの技術者、三村仁司氏とアドバイザー契約を10年1月に結び、日本人向けシューズの開発に力を入れている。
対するアシックスの幹部は「いかに現在のシェアを守るかが課題」と話す。直営店の拡大のほか、マラソン大会への協賛などで「競技人口が最も多い初中級者層を確実に取り込む」と“草の根戦略”を重視するが、プロモーション力で勝る海外勢に見劣りするのは否めない。
アシックスが「次の一手」と位置づけるのは新興国を中心とした海外展開で、11年秋には直営店をブラジルに開いた。野村証券の池内一アナリストは「新興国で経済成長が進めば肥満が社会問題化する可能性が高く、ランニング関連の需要が高まるだろう」と指摘する。
アシックスは16年のリオデジャネイロ五輪までにブランドの浸透を図る。ただ海外勢も同様の戦略を取るとみられ、今後、国内はもとより世界レベルでの競争が激しくなりそうだ。(西村利也)