和歌山では「中華そば」と呼ぶのが一般的だが、全国的には「和歌山ラーメン」という。その豊富な知識を持ったタクシードライバーがお客の希望に合ったラーメン店までご案内。名付けて「和歌山ラーメンタクシー」。観光客のおもてなし向上とリピーターなど誘客を狙った和歌山市の新年度の新規事業で、今秋からの走行を目指す。“先輩格”の「うどんタクシー」(香川県琴平町)並みに注目を浴びることはできるか-。(井上亨)
和歌山ラーメンって…
「和歌山ラーメンの源流」と題した論文を発表するなど、和歌山のラーメンについて詳しい和歌山市立博物館の寺西貞弘館長は仕事柄、和歌山県外の人との付き合いが多く、よく和歌山ラーメンについて聞かれる。が、「食べ歩きに関する資料はあっても、その歴史などに関する資料がなく、自分で調べようと思った」。
寺西館長によると、醤油(しょうゆ)や鰹節(かつおぶし)の産地である、和歌山県湯浅町や紀南地方が近いということもあって、和歌山のラーメンのスープは戦前は醤油と鰹節からとったものが基本だった。戦後になって食糧事情がよくなり、豚骨が加味された「豚骨醤油系」が誕生。現在は大きく分けて「醤油ベースの豚骨醤油味」と「豚骨ベースの豚骨醤油味」に分類される。
麺は細めのストレートで、ゆで方は関東に比べると軟らかく「博多や札幌の人からすると、伸びた麺と思うのでは」(寺西館長)。具材はチャーシュー、メンマ、青ネギ、かまぼこが定番。
各店舗のテーブルには客の好みで追加注文するサイドメニューとして、早なれ寿司(鯖(さば)の押し寿司)、巻き寿司、ゆで卵などが置かれ、サイドメニューは支払いのときに自己申告する。
(次ページ)きっかけは「ラーメン王選手権」だった