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ラグビーW杯で海外から注目「ランチパック」 独自カテゴリー築き上げる秘訣 (2/3ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

 しかも耳はないけど、周囲がしっかり閉じられているので具材がこぼれずどんな状況でも片手で食べやすい。サイズも程よく小さくて2枚入りで食べきりやすく、女性も食べやすいサイズです。何より、サンドイッチなのに常温保存ができるところも、扱いやすくてとても便利です。食べてみれば、ソフトなパンの食感と、どんな味を試しても裏切られない安心の美味しさ。確かに、良いとこずくめな商品だと、再確認しました。

 「ランチ」というオケイジョン訴求の切れ味

 改めて見れば、それほどに優れたUSP(ユニークセールスポイント)が多い「ランチパック」ではありますが、成功は、商品力だけの賜物ではないと思われます。

 まずネーミングが秀逸です。「ランチパック」。○○サンドとしてしまいたいところを、「パック」というパンの世界ではあまりなじみがない、でもイメージはなんとなくできる言葉で表現しています。ちなみに他社の同様製品は「スナックサンド」(フジパン)や「ふんわりサンド」(木村屋總本店)等サンドイッチの一形態であることを訴求するネーミングが多いのです。

 また、例えば”あんぱん”のように味を名前に付けないことで、今に至る無限のバリエーション展開を可能たらしめています。発売時より何らかカテゴリーブランドに育てていく意志を感じさせるネーミングですが、パンは商品名で味訴求をする製品が多いですから、そもそもユニークです。 

 そしてネーミングの肝は「ランチ」という食べてもらうタイミングを訴求していること。このように生活者にその製品を使うタイミングやシチュエーションを提示する訴求をオケイジョン訴求といいます。食品に対して、生活者は基本保守的ですから、いつどう食べれば良いか分からない製品をそうそう食べてはくれません。そんな新しいコンセプトの商品を、「ランチ」と提案することで、一歩分かりやすく生活者にとって手を出しやすいものにしているのです。

 この「ランチ」という定義が、「ランチパック」のブランドの位置づけを実は非常に端的に表しています。つまり家で食べるブレックファストでもディナーでもなく、職場や学校、スポーツや趣味など何らか外で活動している日中に、ハンディで食べやすい特性を生かして食べて欲しいと伝えています。

 オケイジョン訴求をTVCMでも徹底

 剛力彩芽さんが長く出演し、現在は山崎賢人さんが出ているCMの訴求も一貫して、スポーツや職場など自宅以外での活動的なシチュエーション。ここでもオケイジョン訴求が徹底されています。

 でも考えてみるとこれは結構異例なことで、パンに限らず食品のコマーシャルはいわゆるシズル感と言われる、ジュワーとかサクッといかにこの食べ物が美味しいかを感性に訴えるCMが基本です。「ランチパック」のCMに美味しさ訴求はありませんし、次々と新発売される新しい具材を使った新味の訴求にもあまり重きを置いていないように見受けられます。

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